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インドのアンティークジュエリーを伝える現代の宝石商

2016年7月12日
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インドの宝石を日本に紹介して25年。株式会社ラジインディアは、インド王侯貴族が所要していたアンティークジュエリーを中心に、宝石・アクセサリー・工芸品の輸入・販売を行う宝石店だ。故郷インドを離れ日本に移り住み、全国各地の百貨店を巡る宝石商の素顔に迫った。

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インドのアンティークジュエリーを手にする バティヤ氏

バティヤ チャンドラ モハン シン氏(以下バティヤ氏)

私たちはインドのアンティークジュエリー・宝石・工芸品を輸入し、百貨店の催事等で販売を行っております。主な取り扱い商品は、私の故郷であるインド西部ラジャスタン州のアンティーク・マハラジャ・ジュエリー。インドの王侯貴族たちが所有していた、伝統と誇りに満ちたジュエリーです。

私の出身地ラジャスタン州は、多くのマハラジャ(ヒンドゥーの王)たちの出身コミュニティーでもあります。マハラジャたちは一族・家のシンボルとして、誇りを持ってジュエリーを身につけてきました。マハラジャを多く輩出したラジャスタン州は、古くから宝石の街として栄えてきたのです。私たちは、そんなラジャスタン州のジュエリーの中でも、ラジプート族(ヒンドゥーの王族・貴族)が所有していた19世紀のアンティークジュエリーを中心に取り扱っています。

インドは1725年にブラジルで鉱山が発見されるまで、世界で唯一のダイヤモンド産地でした。そのため、インドのジュエリーにはカットや加工技術・デザインにおいて、西欧のものとは違った独自の文化や歴史が見られます。私たちは25年程前から、そうした独自の魅力を持つインドのジュエリーを日本に紹介する仕事を行っています。

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テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士も務める まなみ氏

石山 バティヤ まなみ氏(以下まなみ氏)

私たちがインドの宝石・工芸品販売をはじめたのは、1989年からです。主人は1981年頃から、講道館で柔道を学ぶために日本とインドを行き来する生活を送っていました。私はその頃に主人と出会い、結婚してインドに渡りました。その後出産を機に家族で日本に移り、インドの宝石や工芸品を販売する仕事をはじめました。

当時の日本はバブル経済の終わりごろで、インド雑貨の販売をされている方はいらっしゃいましたが、インドの高価な宝石を扱っている方は少なかったと思います。ヒッピー文化の名残もあってか、インドに対するイメージも現在とは全然違っていました。何故か「インドっていうとハエが多いんでしょ?」とおっしゃる方が多かったのを覚えています。

今ではそんな事を言う方は誰もいなくなりましたし、インド式教育がテレビでもてはやされたりするようになりましたが、とにかく今とはインドに対するイメージが全く違う状態でした。そんな中で「インドの良い物を日本に紹介したい!」という想いで主人と二人で始めたのが、インドの宝石・工芸品の輸入販売だったのです。

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金と宝石で彩られる19世紀のアンティークジュエリー

バティヤ氏

こうして始めたインドの宝石・工芸品販売ですが、日本に向けた商品の仕入れには苦労しました。日本でも受け入れられる商品を仕入れるために、インド国内向けに比べて格段に商品の品質を向上させなければならなかったのです。

インドのジュエリーは職人が手作業で仕上げるものなのですが、仕入れにあたっては職人がイヤになるほど厳しく品質チェックを重ねました。商品1つを仕上げるのに、2日かかるような品物です。インド国内向けの商品は2日で20個仕上げられると言えば、いかに厳しく品質をチェックしているかがお分かりいただけるでしょう。

職人としては国内向けの商品を大量につくっている方が簡単に稼げるのですが、中には「よりクオリティの高い商品を手掛けることで、職人としてのスキルを向上させたい」という方もいらっしゃいます。そんな職人さんたちにお願いしてまわり、何とか日本のお客様にも満足いただけるような商品を仕入れられるようになりました。現在まで25年以上に渡りこの商売が続けられたのも、そうした職人さんたちの協力のおかげです。