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好きな国で仕事ができるビジネスマンでありたい

2015年8月31日
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「世界のどこでも自分の気に入った国で生活したい!」旅好きなら誰もが一度は夢見るライフスタイルだろう。では「好きな国で仕事ができるようになりたい」というビジネスマンはどうだろうか。マレーシアでマーケティングの職に就く雌純徳氏に、その目指す働き方を聞いた。

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マレーシアでマーケティングの職に就く雌(めとり)氏

私はマレーシア・クアラルンプールでマーケティングの仕事をしています。仕事内容は、日系企業のマレーシア進出支援。お客様がマレーシアで販売したいという商品・サービスについて、それがマレーシアで売れるかどうか市場調査をする仕事です。市場調査の他にも、現地バイヤーの選定や商談のセッティング、現地での販売代行等も手掛けており、マレーシアでの販売支援に関わる幅広いサポートを提供しています。

私はマレーシアに来て2年になりますが、それまでは現在と全く異なる仕事をしていました。日本国内の製造業専門商社で、営業職に就いていたのです。国内の工場向けに生産設備用機械部品を販売するという、完全に日本国内だけで完結する仕事です。私は海外志向が強くいずれは海外で働きたいと思っていたのですが、会社の方針は国内販売を強化していくというものでした。そこで私はお世話になった会社を離れ、マレーシアに移住しキャリアチェンジを図ることにしたのです。

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大学のゼミで初めて海外を訪れて以来、徐々に海外は身近なものに

海外志向が強いにもかかわらず、国内で完結する仕事に携わっていた。若干おかしなキャリアですが、私は前職への入社が決まった時点では海外に興味を持っていませんでした。それどころか海外に行ったこともなく、パスポートすら所持していなかったのです。

私が就職活動を行っていた当時、大学生の新卒採用は4年生の春からスタートするのが一般的でした。私も4年生の春に内定をいただいたのですが、私が初めて海外を経験したのはその年の8月でした。所属していたゼミのカリキュラムで、タイを訪れることになったのです。スラム街で育った子供たちの社会復帰に従事している財団と提携し、その財団が運営する学校で子供たちと共同生活を送るというプログラムでした。2週間ほどの滞在で、これまで日本で経験したことがない様々な体験を味わうことになりました。

このタイでの経験からすぐに「海外に住みたい、海外で働きたい」とは思わなかったのですが、その後もゼミのメンバーで海外旅行に行ったり、海外一人旅をしてみたりと海外を身近に感じるようになってきました。会社勤めをはじめてからも、時間を見つけては年に1.2回海外旅行に出かけるようになりました。そうして海外を旅しているうちに、私は「いつか海外に住んでみたい」という好奇心を抱くようになったのです。

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日本を離れ、海外でのキャリアを積むことを決意する

日本の製造業専門商社で働くうちに、私は海外への好奇心に加え「日本で働いていても、いつかは海外で勝負をしないといけない日が来てしまう」という危機感を感じるようになりました。取引先企業が次々と工場を海外に移転し、資材調達ルートも国内から海外へと切り替わっていったのです。

そのような状況下で、私が勤めていた会社は積極的に海外展開をするわけではなく、縮小していく国内市場をいかに深堀りしていくかという方向に力を注いでいました。その戦略の善し悪しは私には判断できませんが、少なくとも海外市場が拡大せざるを得ない時代に突入していることは感じていました。そうした中で、私は「いつか海外に出ないといけない日が来るなら、先行して今のうちに海外でのキャリアを積んでおきたい」と考えるようになりました。しかし、海外でのキャリアは勤務している会社では身につけられません。そこで私は、海外でのキャリアを積むために会社を離れることを決意したのです。

「海外に住んでみたい」という好奇心と、「海外でのキャリアを身につけないといけない」という危機感。この2つの動機から、私は海外で働くためにはどういう手段があるのかを調べはじめました。すると、海外での現地採用、いわゆる海外就職という雇用枠があることが分かりました。日本企業から派遣される海外駐在員とは異なり、働く国や会社を自分で選べる働き方です。この働き方を知った時に、私は「自分が求めているキャリアの積み方は、この海外就職かもしれない」と思いました。そして私は、海外就職に向けてさらに詳しい情報収集をはじめました。

どういう求人があって、どこの国で働けるのか。どういう条件で、どういった能力が求められるのか。そうしたことを調べるうちに、日本にアジア諸国への海外就職を斡旋している人材企業があることが分かりました。そして私は、その人材企業にお世話になりながら海外就職に向けて具体的に動き始めることになったのです。

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マレーシアの首都クアラルンプールは、東南アジア有数の大都市だ

海外就職に向けて会社を退職した私は、100日間かけて東南アジア諸国を視察して周りました。実際にどの国でどんな仕事をするか、自分の目で見てみようと思ったのです。ベトナム、インドネシア、マレーシア、そしてフィリピンでの英語留学。これらの国に滞在しながら、実際に現地で就職活動を行いました。その中で、後に移住することになるマレーシア・クアラルンプールを訪れることになったのです。

マレーシア・クアラルンプールの第一印象は、「海外だけれども違和感がない」というものでした。これまで訪れてきた国では「自分は日本人で、この国では外国人なんだ」と感じることが多かったのですが、マレーシアではそれがありませんでした。マレーシアにはマレー系・中華系・インド系と多種多様な人種が共存しており、「日本人の自分は外国人だ」という疎外感が無かったのです。多民族国家ならではの「溶け込まないまでも入り込みやすい微妙な距離感」があり、その距離感は私にとって快適で心地良いものでした。日本人だからといって疎遠になるわけでもなく、かといって無条件に親密になるわけでもない。そのバランスが絶妙で、自分だけがマイノリティーじゃないと思えるような、海外にいるけれども外国にいることを感じさせない空気がマレーシアには流れていたのです。

ただ、当時の私はマレーシアではなく別の国で働くことを考えていました。マレーシアでの求人状況と、私のスキルがマッチしなかったのです。マレーシアでの視察を終えた私は別の国に移ったのですが、ちょうどその時に日本でお世話になっている人材企業から連絡が入りました。マレーシア・クアラルンプールで私にピッタリそうな仕事があるとのことでした。その仕事が、現在私が携わっているマーケティングの仕事です。こうした縁で私はマレーシアに移住し、製造業専門商社の営業職からマーケターへとキャリアチェンジすることになったのです。