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ジャグリング日本王者が自らに課した処理すべき案件とは-2

2015年8月31日
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デビルスティックのパフォーマンスでジャグリング日本チャンピオンに

世界大会で望む結果を出すことはできませんでしたが、その後日本でジャグリング全国大会が開催されることになりました。何か結果を残したかった私はその大会にエントリーし、運よく優勝することができました。そして、日本一のジャグラーという形に残る評価をいただくことになったのです。

世界大会の予選落ちから全国大会優勝を経験したのは大学4年生の夏~秋頃。今思い返しても大変濃密な時間でした。その時は卒業後の就職先が決まっていたので、ジャグリング日本チャンピオンを集大成としてジャグリングの世界から離れるつもりでいました。

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日本チャンピオンで満足し就職するか、もう一度世界大会ファイナリストを目指すか

しかし日が経つにつれ、「世界大会で負けた」「日本チャンピオンになっても世界大会予選落ち」という事実が重くのしかかってくるようになりました。同時に、世界大会の会場で感じた「あと2年間練習を積めばファイナリストになれるのではないか」という感覚を思い出すようになりました。

「このまま就職してジャグリングを辞めていいのか」「誰か他の人が世界大会決勝進出を果たすたびに、もしジャグリングを続けていたら私もあの舞台に立っていたかもしれないと後悔するのではないか」悩んだ末、私は内定をいただいていた会社に就職辞退の連絡を入れました。そして、世界大会決勝進出を果たすまではジャグリングに打ち込むことを決意したのです。

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ジャグリングを職業とし、世界大会ファイナリストを目指す

大学卒業後はアルバイトをしながら世界大会を目指そうと思っていたのですが、偶然にも大阪のテーマパーク”ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)”からジャグラーを募集しているという連絡が入りました。オーディションの結果USJのパレードジャグラーに採用され、そこから私のパフォーマーとしてのキャリアがスタートしました。

その後は週に5日ほどUSJでパフォーマンスを披露しながら、世界大会を目指して練習を重ねる日々を送りました。そして2003年夏、アメリカの地で2度目の世界大会挑戦の日を迎えました。当日は今まで経験したことのない凄まじい緊張に襲われましたが、2年前に感じた手ごたえの通り、無事に世界大会で決勝8組のジャグラーに残ることができました。ずっと目指していた目標を達成した瞬間でした。

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ジャグラーとして目標を達成した後、ひょんなきっかけで大道芸に出会う

目標を達成し帰国した私は、USJとの契約が残っていたので再びパレードジャグラーとして働き始めました。しかしこれまでと違って、目標を達成してこれからどうしようという不安を抱えるようになっていました。そんな中、同僚のパレードジャグラーから「”大道芸ワールドカップin静岡”に出場するので観に来ないか」と声をかけられました。

大道芸ワールドカップin静岡とは日本で一番大きな大道芸のイベントです。知り合いが出場するのであればと思って観に行ったところ、そこで目の当たりにしたショーがとても楽しく、一瞬にして心を奪われてしまいました。

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大道芸は、様々なジャンルのエンターテイメントを組み合わせてショーをつくる

これまで私はジャグリングという枠の中で競い合っていたのですが、大道芸はより大きな枠でのエンターテイメントだと感じました。ジャグリング、パントマイム、マジック、コメディー、アクロバット、ダンス。パフォーマーたちは様々なジャンルを組み合わせた独自のショーを披露し、お客様を楽しませます。

その姿を見て、自分がやりたいことはこういう事なのかもしれないと思いました。USJでの決められた役柄でのパフォーマンスではなく、自分だけのショーをつくっていきたいと考えるようになったのです。そして私はUSJとの契約満了後、現在の職業である大道芸の世界に飛び込むことになりました。

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年齢・性別を問わず多くの観客が集まるパフォーマンス

ある日私のもとにメールが届きました。「以前、大阪の海遊館前で彼女と一緒にリスボン上田さんのショーを観ました。そのショーがとても楽しく、私と彼女にとって良い思い出になっています。その彼女と結婚することになりました。ぜひあの楽しかったショーを家族や親戚にも観てもらいたいのですが、私たちの結婚披露宴でパフォーマンスを披露してくれませんか」という依頼でした。

パフォーマーにとって「あなたのショーを観て、あなたのショーを他の方にも観てもらいたい」と言われるのは、大変光栄なことです。この業界では、「時間30分・ジャグリングでお客様を喜ばせる人・予算何円でお願いします」という方式でパフォーマーを探されるケースが多々あります。そんな中、私でなければダメだと言われるのは大変うれしいことです。まして結婚披露宴のような特別な日に呼ばれるとなると、なおさらです。

結婚披露宴のパフォーマンスから数年後、海遊館前でパフォーマンスを披露していると、その時のご夫婦が声をかけに来てくれました。なんとその時には家族が増えて、3人になっていました。