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とにかく釣れる、大物が沢山釣れるルアーを目指して-3

2015年10月1日
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数々のルアーや剥製が並ぶ有限会社HMKLのショールーム

その後もバスフィッシングブームは続き、私は周囲の後押しもあって1998年に起業しHMKLブランドのルアーメーカーを法人化しました。そして1999年、それまで木材から手作りしていたルアーをプラスチック製品としても制作するようになったのです。

プラスチック製ルアーの売れ行きは順調で、起業後もしばらくは釣具店とルアーメーカー経営を並行して行っていました。ところが、2002年頃から急速にバスフィッシング愛好家が減少していきました。外来種であるブラックバスが日本の生態系を破壊することが問題となり、ブラックバスの繁殖を防ぐ法律・条令が制定されたのです。この法規制がきっかけで、日本のバスフィッシングブームは終わりを迎えました。

法律・条令の大まかな内容は、「ブラックバスを移動させてはいけない」「釣ったブラックバスを放流してはいけない」「ブラックバスを販売してはいけない」というものです。日本の生態系を外来種から守るための規制ですので、私はその規制は正しいものだと思います。むしろそれまで成立していなかったのがおかしいくらいの規制です。ところが、不幸にもバスフィッシングが一大産業になってからの規制となってしまったので、バスフィッシング業界は大きな打撃を受けることになったのです。

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ショールームに展示される泉氏が生み出してきたルアーの数々

私も釣具店をたたみ、事業をルアーメーカー1本に絞ることにしました。幸いにも私が作っているミノープラグは、ブラックバスだけでなく渓流のマス釣りや海のスズキ釣りにも使用できるものだったのです。私自身、もともとバスフィッシングのみにこだわっていたわけではありませんので、その後は対象魚を広げてルアー制作を行うようになりました。

バスフィッシングブーム終焉の他に、妻が病に倒れたことも店を閉める要因になりました。私はそれまで自分の好きなことをやってきたので、この時は妻の看病・子育てといった家族との時間を大切にしようと考えたのです。その後しばらくは釣りに対するモチベーションを失ったこともあったのですが、やはり私は元来からの釣り好きでしたので、今では自分の好きな釣りに没頭しながらルアー制作を続けています。

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「とにかく釣れるルアー」を追い求め、これからもルアーを作り続ける

私がルアーを作り続ける理由は、トーナメントに勝ちたいからです。ルアー制作をはじめた頃から一貫して、「とにかく釣れるルアー、人より大きな魚がたくさん釣れるルアーを作る」ということを徹底しています。

ただ、どんなルアーが「釣れるルアー」なのかは人間には分かりません。魚の生態は100%解明されているわけではありませんし、なぜ魚はルアーに喰いつくのかも正確なところは分かっていません。各国のルアーメーカーが研究を重ねていますが、未だに分からないことばかり。ルアーとは未完成なものであり、それがルアー作りの面白いポイントなのです。そう考えると、ルアーには夢がありますね。

ただ、もし私が物凄く釣れるルアーを完成させたとしたら、私はそれを誰にも売らないでしょう。そのルアーがあれば、全てのトーナメントで勝てるからです(笑)「じゃあ今まで販売してきたルアーは何だったんだ」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、これはルアー制作に携わる者としての夢なのです。私はこれからも、その夢に向かってルアーを作り続けたいと思っています。

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プロフィール

泉和摩(いずみ かずま)有限会社HMKL代表取締役。1974年よりオリジナルミノープラグHMKLの制作を行う。1985年より日本最初のバスフィッシングトーナメントJBTAに参戦し、1986年にJBTA初代アングラーオブザイヤーに輝く。1987年に渡米、B.A.S.S.インビテーショナルへの参戦を開始。1991年まで日本人初のB.A.S.S.インビテーショナルシーズンフル出場を果たす。1997年、新設された国内最高カテゴリーのトーナメントJBワールドシリーズ第1戦で優勝。2015年現在も国内最高カテゴリーのトーナメントJBトップ50に参戦を続けている。

取材・執筆・写真撮影: 石川晃司

取材日: 2015年8月5日 / 8月8日 / 9月18日


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